95年。
バンドから離れてしばらく経っていて、ヒドゥン・アジェンダのスムース・オペレーターが5週間1位を取っていた頃だ。
僕はステファニー・ミラーのショーにバンドと一緒にゲスト・ミュージシャンとして出ていた。
とても愉快なショーで、あれがまだオンエアされてないのは残念だ。彼女はすごい才能がある。
火曜日に電話がかかってきて、それは木曜10時にハリウッドのAandBスタジオでのセッションのオファーだった。
日本人シンガー吉田美和のソロ(アルバム)で、僕は何年もの間、たくさんの日本人アーチストの仕事を、
こちらや、東京でやっているが、美和とはまだだった。
ウォーム・アップのために9時45分に着き、美和と中村正人(Masa Nakamuraと表記)に暖かく迎えられた。
後に知ったのだが、彼らはドリームス・カム・トゥルーというボップ・グループのメンバーだった。
その日のセッションは美和のファースト・ソロでマサがプロデュースだった。
それは彼らのポップ・アルバムよりも、もっともっとジャジーになるものだった。
まず、彼らが、それまで会った誰よりも素晴らしい人達だと言わずには、話は進められないね。
彼らは僕にこのアルバムを頼むためにニュー・ヨークから来たのだった。彼女からのその依頼は光栄だった。
言うなれば、僕はヒットを打ったわけで、彼らも喜んでくれた。
その仕事が終わると僕はその晩のテレビ番組収録のためにパラマウントへすっ飛んで行かなければならなかった。
しかし美和とはこれが最後ではなかったのだ…。
ステファニー・ミラーとの仕事が終わった数日後の夜、行きつけの寿司バーに夕食に行った。
マネージャーに美和とのセッションについて話すと、彼は、僕の頭が二つになったかのように見た。
「ミワ・ヨシダが誰だか知ってるのか?」彼は言い、僕は肩をすくめた。
「日本のマドンナだ」
おお。なるほど。
ともかく、それまでは価値を見いだせなかったのだが、今や彼といる意味があるわけだ。。。
さて、早送りして数ヶ月後。
家にはファクスがある。
まだマックを持っていない頃で、ま、ともかく深夜に電話が鳴ったんだ。
オゥオゥ。誰が死んだんだ?
4回鳴った後、ファクスに切り替わった。
フム。何だろう? プリントされる間にオフィスへ行った。
電気を点け、ファクスをトレイから取り、読み始めた。それは東京からで(17時間の時差があるからね)
「3月いっぱい美和とツアーが出来るか?」と尋ねていた。
「明日、誰かが電話します」と。
不思議? だよな!
ちょっと心配? そりゃもう!
次に何が起こるか見当もつかなかった。。
電話は翌朝の10時半頃かかってきた。
GRPレコードのマーク・ウェクスラーだった。彼がそのツアーのためのミュージシャンを調整していたのだ。
美和はアルバムと同じミュージシャンでやりたがっていた。
彼女のCDをまだ受け取っていなかったので誰が参加してたのか知らなかったし、タイトルさえも知らなかった。
探してはいたんだけど。。。
CDタイトルは「Beauty And Harmony」だ。
マークは気さくに誰が参加してたのか言い、全員で日本へ行くのだと言った。
参加者はみんなも知ってる名前だろう。
ドラム:ハーヴェイ・メイソン。
ギター:デヴィッド・T・ウォーカー。
ベース:チャック・レイニー。
ピアノ:ジェイ・ワインディング。
パーカス:ラルフ・マクドナルド。
テナー:マイケル・ブレッカー。
トランペット:あなたのグレッグ。
おお! イケテるだろう?!
結局マイケルはポール・サイモンとのツアー中で辞退しなければならなかった。残念。
しかし幸いエリック・マリエンサルが参加してくれた。
東京。
初日の前、9〜10日間がリハだった。
しなければならない事は多かったが、すぐにまとまっていった。
丸一日のリハ、夜にはワインと夕食。
美和と正人が日本でスーパースターだと言う事がわかった。
彼女はどこに行ってもファンに囲まれた。セキュリティはどした・・。
時にはこっそりと行動しなければならなかった。
ある晩、福岡という街で美和と正人が出演者・クルー全員を馴染みの焼き鳥屋へ連れていってくれた。
全てが串焼きだ。
グループは35人はいたに違いない。
いくつかのテーブルに分かれて座り、僕は美和達と一緒だった。
何杯かの熱燗と焼き鳥の後、僕は雌鶏の声を聞いたように思った。
多分酒のせいだろう。オオ。。
ともかく美和は振り返って僕に
「鶏寿司って食べた事あ〜る?」と聞くのだ。
おわっっ。もちろんないよと答えた。彼女曰くとっても美味いんだそうだ。
「チキンみたいな味なの」(爆)
「いくつか頼むから私と分けない?」
チャレンジするしかない。
「いいとも」と言った。
数分後、それはやって来た。
その頃にはみんな僕が尻尾を巻いて逃げ出すだろうと思っていただろう(チキンなだけに:弱虫)
ジャジャーン! 海苔で巻かれた6片が小皿に乗っていた。
まさしく海苔巻きのように。
ダラダラダラ…(ドラム・ロール)彼女はお箸でひとつつまみ、一緒にきたソース(醤油?)につけた。
さて次は僕の番だ…。
僕もソースをつけた。回りは固唾を飲んでいる。
口へ入れて、噛んだ。何と美味しい!
みんなが歓声をあげた。
みんなでそれを食べ終え、僕はウェイターに言った
「サケ、モ、イポ、クダサイ?」(原文:Sake, mo ipo, kudasai?)
もちろんダブルで!
では、また来週!
美和とのツアー話は続くよ!
